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笑いのエビデンス

2023/12/29 2024/01/30

【笑いのエビデンス】「笑いと治癒力」⑥/6(ノーマン・カズンズ)

「笑いと治癒力」(ノーマン・カズンズ)

⑥「3,000人の医師から学んだこと」

カズンズが①「私の膠原病回復記」を『ニューイングランド医学誌』に発表した後で、十数カ国の医師から3,000通の投書がカズンズの元に届きました。「生への意欲」「笑い」「ビタミンCの大量点滴」という素人が考え、主治医と相談して実行した療法が多くの医師に賛同を得られたのです。その医師たちに流れていた考え方は、「患者は自分の精神力と体力を病気との戦いに動員できるものであり、その患者の能力を100%利用するのが医師の主な役目の1つである」というものです。また、「正しい栄養状態とストレスからの適度の解放という条件があれば、人間の身体は強い回復力、再生力を持つものだ」ということにも理解を示していました。

このように素人考えにも理解を示す医師もいますが、そうではない医師がいることも事実です。後者については、そういう医師に診てもらっている患者からの相談事例も幾つか記載されていますが、ここでは、前者の理解ある医師の事例だけ紹介させていだきます。膠原性の病気のために徐々に両足が利かなくなっている23才の女性の例で、本人も家族も絶望のどん底という状況でした。その女性の主治医からの依頼でカズンズが女性に電話することになり、自分の体験談を話し聴かせるうちに前向きな気持ちを取り戻し、治療に挑戦するようになっていく過程が記されています。その中に、面白い話を拾い集めて毎日9:30にカズンズにその内の1つを話すというものがありました。当然家族総出で面白い話を探します。2週間後、主治医がカズンズに電話をかけてきて「一番目ざましい成果は家族全体の生活の質が一変(明るく、前向きになったの意)したことだ」「彼女は前よりずっと元気になり、たしかに前途に希望を持てる様になった」と言ったそうです。

カズンズは言います。「笑いについて重要なのは、単にそれが寝たきりの人間に体内の運動~一種の内臓ジョギング~をさせることだけでなくて、ほかのあらゆる積極的な情緒までも作用できるようなムードを作り出すことだ、一言で言えば、笑いはいいことが起こり得るように、その助けをするのだ」

半世紀以上前に書かれた本なのに、私自身読むのは2度目なのに、とても新鮮に感じました。「笑い」が患者に力を、希望を、勇気を与えるということが改めてよく分かり感動しました。

超おすすめ本です!!